森に雪が降ったある晩のこと。 母さんぎつねは、手袋を買いに坊やを町に行かせます。坊やの片方の手を、母さんぎつねがしばらくにぎると、かわいらしい人間の子どもの手になりました。 「いいかい。町へ行ったら、この人間の手を出して、手袋ちょうだいっていうんだよ」。 坊やは無事に手袋買って、森に帰れるのでしょうか?
きつねの母と子の愛情をほのぼのと描いた、1943年発表の南吉童話の名作。寒い季節に、子どもの手を温めてあげながら読んであげたい、心温まる絵本です。
この「てぶくろを買いに」は、絵本が大好きな人たちに幅広く楽しめるように、文章を新字体、新かなづかいに改め、女性画家5人が絵をつけた<絵本・新美南吉の世界>全5巻の一冊です。
(三好なほこ)