――家庭の役割って?
今、家庭がどうあるべきか、親が子どもに何をすべきか悩んでいる人が多いと言われていますね。私が教師をしていた時もそうでしたが、お母さんたちは、みんな一生懸命なんだと思います。
先日、出版致しました本「親ががんばらないほうが子どもは伸びる!―子育てでいちばん大事なこと」の中にも書きましたが、私は「家庭は子宮の延長であるべき」だと考えています。
子宮は赤ちゃんにとって、温室ですよね。安らかで、穏やかで、安心しきった状態で過ごせる。家庭も、子宮と同じように子どもにとって温かい場所であって欲しいと願います。
親に愛され、自分の存在が認められて、温かく見守ってくれる人がいる。こういう温かい、子宮の延長のような家庭で育つと、子どもの肯定意識が養われ、親を信頼していいんだと子どもが思えるようになってきて、自己肯定感が育ちます。でも、最近の家庭は「良い子」を育てることが優先され、温かく受け入れるというより、子どもたちを否定してしまうことが増えているように思います。
本来、子どもは親子関係の中から「信頼」を学び、基本的信頼感を持つのですが、ありのままの自分を受け入れてもらえていない、安らかな雰囲気の中で育てられなかった子どもは、この基本的信頼感を持つことができずに、「不信感」ばかりが募ってしまいます。基本的信頼感が持てないと、すべてのことに「不信感」を抱くようになり、人間関係が上手くいかない、物にあたったりすることが多くなってしまうわけです。
――子どもを受け入れ、共感する
具体的に家庭を子宮の延長のようにするには、まず、ありのままの子どもの姿を受け入れ、共感することです。本では「動物のウンコ集めが好きだった子」を紹介しましたが、大人にとってそれが教育的価値がないもの、興味のないことであっても、子どもが好きで夢中になっているものがあったら、それに共感して、その世界を一緒に楽しんでみましょう。ついつい大人は、自分の価値観を子どもに押し付けがちですが、押しつけはよくありません。あくまでも、子どもの価値観を認め、共感することが大切です。
もしも、お子さんの好きなことがよくわからない場合は、まずお子さんがよくやっていることをほめてあげることから、始めてみましょう。
――子どもが何かに夢中 親は迷わず共感、応援を!
子どもは自分が好きなものは、自分なりに掘り下げていきます。いわゆる熱中体験ですね。車だったり、虫だったり、野球だったり、ポケモンなんて子もいると思います。子どもが何か熱中する物を見つけたら、分野問わず、共感、応援してあげましょう。
それは何故かというと、子どもはこの熱中体験の中で、「楽しみ方」「深め方」などの「探求する力」を身に付けていきます。これって、実は物事を考えるOSを養っていることになるんですよね。
OS作りの基がピカチューであっても、ウンコであっても、OSがあればそこに算数だったり、仕事だったりとソフトを入れ替えればいいんですよ。でも、熱中体験がなかった子は、OSがないところにソフトを入れるわけですから、なかなか上手く動きません。
これまで「子どものために良かれ」と行ってきた「教育」や「しつけ」は、子どもたちの「やる気」をつんできたと僕は思っています。子どもにとって大切なのは、「今の幸せ」。明日は、永久に明日なんです。あるかどうかわからない明日より「今」楽しいことが最優先。そして、「今の幸せ」を大切にし、何かに熱中できた子は、必ず後で伸びます。
最近の子育て、特に低年齢からの受験は、超高層ビル型。なるべく無駄がないように、効率よく知識を詰め込んでいきます。でも、僕は富士山型であるべきだと思います。富士山ってムダにすそのが広いと思いませんか。でも、そのムダな部分が必要なんだと思います。新しい企画なんて、決まりきったものの中からは生まれない。ムダな部分と何かがつながって生まれることのほうが多いと思います。だから、子ども時代は、効率を考えるのでははく、「今」を考えて欲しいですね。
――苦手なものこそ、なおらない
とはいっても、普段の生活はいいことばかりではありませんよね。整理整頓が苦手、食事のマナーが悪いなど子どもの不得意なところは、目に付くものです。でも、苦手なものだからこそ、子どものうちには直らないものです。それは、机の上がちらかっていても、食事のマナーが悪くても、子どもたちは、何も困らない。でも、大人たちは、我が子を「良い子」にしようと、口をすっぱくして何度も何度も言うわけですよ。
実は私も整理整頓が苦手で、教師時代に大失敗をしたことがあります。卒業文集に載せる校長先生直筆のメッセージを失くしてしまったんですね。必死になって探しましたが、結局見つかりませんでした。でも、あの一件以来、きちんと整理整頓をするようになりました。
好きなことなら自分からどんどんできますが、苦手なこと、できないものこそ、「モチベーション」「工夫する力」「意志力」が備わっていないと本質的には直せないものです。小さな子どもにこの3つを要求しても正直難しいですよね。それなのに、私たち大人は何度も何度も、何とかその苦手なものを克服させようと時間を割き、労力をかけるわけですよ。はっきりいって時間と労力のムダ。その時間と労力は、子どもたちを受け入れる方に使ったほうがずっと子どもは伸びると思います。
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