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病気とけが
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タイトル アトピー性皮膚炎はどのように治療したらよいのでしょうか。

アトピー性皮膚炎の治療を行うとき、もっとも大事であると考えられることはともかくもじっくりと地道にやるということです。

ちまたには多くの民間療法も含めていろいろな情報があふれています。それらの情報を耳にすると、あれがよさそう、これを試したいと、聞く側の気持ちは揺れ動くであろうことはよくわかります。しかし残念ながらアトピーの治療にだれでもが必ずうまくいくという治療法はありません。これをしたらどんぴしゃり必ず良くなる、という秘法みたいなものはないのです。このように申しますと、がっかりされる方も多いとは思いますが、あれこれ目新しい治療法に飛びつく前に、これまでの手持ちの治療法をどれだけきっちりとやっていたのかを思い返してください。

さらにステロイドの功罪の、罪の方がかなり強調された情報が氾濫していますが、功の方にももう一度目を向ける必要があるのではないでしょうか。飲む薬もつける薬も薬剤には必ず良い面と悪い面すなわち作用と副作用が存在します。

副作用がないといわれる漢方薬にも立派な副作用があります。要するに薬物はしっかりとした知識を持って経験を積んだ医師の指示に従って用いればそう簡単には副作用の方が多くて困ってしまうという状態にならずにすむと思います。

(1) 薬物療法(ステロイド剤など)
ステロイド剤に関しますと、いっときは確実な効果があるためにややもすると医者の方もそれに頼ってしまうきらいがありますが、その限界をよくわきまえ、他の補助的な治療法、生活環境の改善などを織り込んだ治療をしていくことによって、かなりの程度のアトピー性皮膚炎でも改善することが可能です。

ステロイドも他の薬剤と同じように、ただ良い、或いは頭から悪い、と決めつけるものではありません。

実際の治療については小児科医と皮膚科医で多少異なる点はあります。乳幼児の場合と、さほど重症でないときにはまず小児科を受診する方がよいでしょう。かなりの重症のときは皮膚科医の協力或いは指導のもとに小児科病棟へ入院することもあります。いずれにしましても、皮膚症状がかなりひどいときは局所療法をきっちりと行わなければなりませんから、皮膚科医の指導が大切になります。その時にステロイドを用いることに対してどうしても抵抗感があるときにはその旨はっきりと意思を表明すべきと考えます。

治療の概略をここで示しますが、医療というものはあくまでも個別のものですから、患者さんの状態によって、あるいは親の考え方、生活環境の違いによって治療そのものが変化し得るということを一応お断りしておきます。

前書きがずいぶんと長くなりましたが、私共の小児科にて行っている治療のおおよそのところを述べます。

まず局所療法ですが、アトピー性皮膚炎の程度によっては、その炎症を鎮めるためにステロイドの塗り薬を用います。しかし漫然と同じステロイドのみを使うのではなく、最初は1週間ごとに来院していただき、ある程度の強さのステロイドからだんだんと弱いものへと変更していきます。

ステロイドの塗り薬は現在弱い方を1とすると、1〜5までの5段階あります。小児科領域では5の最強のものはまず使うことはありません。かなり強い症状であっても3から始めることが多く、ごくたまに4のものを使わざるを得ないことがある程度です。そしておよそ3日づつ程度を弱めていくことを試みます。またからだのなかで少し強めのステロイドを塗っても比較的大丈夫なところと、そうでない場所がありますから、場所による塗り分けも大事です。顔と首、そして外陰部はその外のからだ、あるいは手足に比べて1段階弱いものを使う方が無難です。朝と入浴後の1日2回塗りますが、翌週にみるときは1段階弱いものを塗った状態での変化を見ます。また皮膚の乾燥が痒みを呼びますから、保湿剤を基礎薬として積極的に塗ります。

最も安定している例ではその保湿剤のみであとはなにも塗らないで良い皮膚の状態を維持できます。かゆみがどうしても強く、掻くなといっても強烈な感覚のため掻かざるを得ず、ひどいときは引っ掻いて気がついてみたら血だらけで、それを見る親御さんの方はとても気持ちが落ち込んでオーバーな表現ではなく、絶望的になってしまうこともありますが、そのようなときは飲み薬で、抗ヒスタミン作用(痒みを押さえる作用)を持った抗アレルギー剤にさらに抗ヒスタミン剤そのものを上乗せし、それでも夜も眠れないときには軽いトランキライザー(精神安定剤)を処方することもあります。

但しそのような困難な患者さんは幸い少ないのです。多くは抗ヒスタミン剤単独、あるいは抗アレルギー剤単独と局所療法で次第に改善していきます。

(2) 食物の除去
食物は、特異 IgE 抗体を調べ、明らかに陽性のものに関してはそれまでに食べたことがあるかどうか念入りに尋ねます。もしも過去にそれを何度も食べていて、痒みが出るとか、どこか赤くなるとか、あるいは蕁麻疹のような腫れて赤くなるような変化とかが全くないようでしたら、血液上の反応はあってもその食物を最初から除去することは考えません。

しかし、得てしてひどい症状が続いているときは食物に対する反応がよく分らないこともあります。そのようなときは試しに2週間ほど血液で反応した食物を除去してみることがあります。除去後に再度その食物を与えて変化があるかどうかを確認します。
除去期間とその後の誘発期間を比較して症状の改善、次いで悪化という変化があればその食物はアレルゲンとして認められると思います。そして治療としての除去食を行う対象となるでしょう。

離乳食をまだ開始していない赤ちゃんの場合には検査上陽性のものが限られていれば、それを新たに離乳食に加えていく時期を遅らせます。最も頻度の多いものは卵白です。現行の離乳法では卵は離乳初期から加えていますが、生後少なくとも8ヵ月以降にするよう指導する場合が多いです。

このような食物とアトピー性皮膚炎の関係についてはいまだ論争のあるところですので、一般論で片づけられない部分が多くあります。主治医の先生と親御さん側とで考え方が異なることもあります。大事な点はお互いの考え方の押しつけ合いにならないことです。

(3) 環境の改善

アトピー性皮膚炎の一つの原因としてダニ抗原も考えられていますので、気管支喘息の治療に環境の改善が重要であると同様にアトピー性皮膚炎についても寝具やじゅうたんの掃除は必要であると考えます。

さらに年長児でスギ花粉にすでに陽性となっている例では花粉飛散の時期に一致して衣服からでている部分、特に顔が赤くなってしまう症状が見られることがあります。このようなときには外出から帰ったらすぐに顔を洗うこと、また衣服をよくはたいてから屋内へはいることを勧めます。


著者:岩田 力
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