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病気とけが
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タイトル 気管支喘息の原因は

こどもの気管支喘息の大部分はアレルギー性のものです。
アレルゲンの多くは室内塵中の目には殆ど見えない小さなダニです。日本でアレルゲンとなるダニはヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニの2種類で、家屋の中のじゅうたん、ソファ、クッション、そして最も重要な場所として寝具の中に潜んでいます。生きたダニだけではなく、その死骸や排泄物も同じくアレルゲンとして働きます。ネコ、イヌ、小鳥などのペットの毛やふけがアレルゲンとなることもあります。

細かな塵となって室内の空気中に漂っているこのアレルゲンを吸い込むと、気管支に届いたアレルゲンは気管支粘膜に付着し、ある部分は粘膜上皮の間隙から中に入り粘膜下に存在する肥満細胞(マスト細胞)に結合している特異 IgE 抗体に結びつきます。するとその刺激が肥満細胞内に伝わり、ヒスタミンを代表とする化学伝達物質が肥満細胞の中にある顆粒から放出され、さらに細胞膜のリン脂質から新しく作られるものとしてロイコトリエン、PAF(血小板活性化因子)、プロスタグランディンなどの物質があり、これらは気管支を収縮させたり、好中球や好酸球、そしてリンパ球などの細胞を粘膜に集合させます。

気管支喘息の発作の起こり具合を考えると、アレルゲンを吸入するとまもなく気管支は収縮してヒューヒューゼーゼーという喘鳴が聴かれ、呼吸が苦しくなります。この早期に起こってくる呼吸の苦しさは気管支を広げる薬液を吸入すると速やかに良くなります。けれども患者のなかにはアレルゲンを吸入して6〜8時間後に再び呼吸が苦しくなってくる人がいます。遅発型の反応とよびますが、これが実は現在では気管支喘息そのものの重要な仕組みであると考えられています。

遅れて出てくる反応では気管支の収縮もありますが、粘膜が腫れてそこには多くの好酸球が集まっており、その細胞から出てくる様々な物質、たとえば MBP、ECP などが気管支粘膜を直接傷つけて、粘膜の細胞(粘膜上皮)がはげ落ちていく状況になってきます。粘膜が傷つくと次からはアレルゲンの侵入が容易となることは想像できることです。粘膜がはげ落ちると、そこへ配置されている自律神経の末端が露出してしまいます。すると自律神経も容易にいろいろな刺激を受けやすくなってしまいます。自律神経(特殊なものですが)が刺激されると、神経反射によってさらに気管支は収縮するようしむけられます。毛細血管は拡張して中の水分が周りへしみ出てきて粘膜の腫れをかたちづくります。分泌も高まり痰が多くなります。これらはすべて空気の通り道が狭くなるようにしてしまいますので、しつこい呼吸困難が続くわけです。

このような状態の気管支粘膜の様子を顕微鏡的に観察しますと、炎症という出来事が起きていることが分かってきました。このように現在ではアレルギー反応から始まる一連の炎症、つまりアレルギー性炎症とよばれますが、これが気管支喘息のいわば本態であると考えられるようになりました。

アレルギー以外の要素は直接の原因というよりも引き金または悪化させるものと考えた方がよいのですが、いくつかあります。見逃せないものは室内の空気の汚染です。

その代表はタバコの煙でしょう。
タバコの煙は気管支粘膜を直接障害することもあり、親やその他の同居している人の喫煙によって気管支喘息を持っているこどもは深刻な影響を受けてしまいます。ぜひ禁煙を目標にしていただきたいと思います。そのほか暖房器具の種類によっては窒素酸化物が多く排出されるものもあります。新建材や塗料、接着材料などからの揮発性化学物質が気道を刺激することもあるといわれています。

心理的な要素はどうでしょうか。
ごく稀にはこどもでも心理的な原因のみで気管支喘息発作を起こすことはあるようですが、慢性の病気を抱え込むと多少は心理的な要素が加わって症状の程度に色づけをするようです。通常の治療によく反応しない年長の例ではその子の家庭内や学校の人間関係についても留意する必要があります。


著者:岩田 力
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