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病気とけが
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タイトル アトピー性皮膚炎のこどもは気管支喘息になるのですか

マスコミなどを通じてよく知られている言葉にアレルギーマーチというものがあります。これは東京にある同愛記念病院小児科の馬場実先生が初めて使われた言葉ですが、アレルギー性の病気の年齢による移り変わりを細かく観察すると、どうも一定のコースがありそうだということを言い表したものです。この行進曲を意味するマーチという言葉はなるほどうまい表現であると思います。けれども言葉というものはそのイメージが独り歩きをしてしまうことが良くあります。このアレルギーマーチもあまりにも一般的に使われてしまって、当初の学術的な意味から少しオーバーな意味として行き渡っているように思います。

つまり、アトピー性皮膚炎から出発して、気管支喘息へ至る道筋がだれでも一本道であるように思い込まれています。さらに拡大解釈されて、アトピーの素因があると、それだけでアトピー性皮膚炎を発症し、次に気管支喘息を発症してしまうとの思い込みがとても強いお母さんにお目にかかることがあります。生まれて間もない赤ちゃんの顔に赤いポツポツができるとそれだけで、この子は将来喘息になってしまうのだろうかと悩む方がいますが、これは取り越し苦労というものです。

大勢の患者さんを観察するとアトピー素因を持っている赤ちゃんが成長し大人になっていく過程で様々な変化(症状)を示していくことは事実です。けれどもこれはアトピーのデパートというビルでノンストップのエレベーターに乗った人々が否応なしに最上階へと送られてしまうと言ったイメージを表しているのではなく、流れに乗っているとしてもそれはジグザグしているエスカレーターのようなもので、途中の階でエスカレーターから離れる人もいますし、或いは2、3階は乗り続けても次にはやはり離れる人もいるでしょう。自分の意志、やり方で乗ったり降りたり出来るものです。けれども残念ながら普通はそのビルからは離れることはないといったイメージです。

アトピーの素因を持った人はそうでない人に比べて気管支喘息になる確率は高いといえますが、全員がなるのではなく、何かプラスアルファの要素があって気管支喘息になっていくのであろうと考えられています。
気管支喘息になる条件としては気管支そのものの過敏性が加わることが考えられています。この過敏性もいわば体質として遺伝することが考えられますが、その他にも環境の要因があるでしょう。

アトピー素因を持つ人の一生を考えてみますと、図1にも示しますように確かにある人はアトピー性皮膚炎が良くなる頃に気管支喘息となる場合があります。一方である人は気管支喘息にならずに年齢が大きくなってもアトピー性皮膚炎をそのまま引きずることもあるでしょう。さらに気管支喘息となった人でも思春期以後に発作もなくなりアトピー性皮膚炎も良くなったままですごすこともあります。ところがある人では成人となってからアトピー性皮膚炎がぶり返したり、気管支喘息が出てくることもあります。
このようにアトピー素因を持っているときには一生を通じての変化を考慮しなければならず、アレルギーマーチというよりもいわばアレルギーアラベスクといった方がよいかも知れません。しかし最も大事なことはアトピー素因=一生病気といった捉え方をするのではないことです。
素因そのものはたとえば血圧が高い傾向を持っている家系であるとか、成人型の糖尿病になりやすい傾向にあるとか、そのほかの体質と同じであってこの世の中には100%完全無欠の人などはいないということです。
アトピー性皮膚炎が既にあっても信頼できる医者の話を聞き、治療をしながら人間として充足する生き方をこどもにも考えてあげる方がよほどましであると思います。


著者:岩田 力
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