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病気とけが
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タイトル 異物を吸い込んだ

少しでも空気が通って呼吸ができている(不完全閉塞)ならば、何もせず救急車を呼んで、酸素吸入をしながら救急病院へ急行する。空気が通らない窒息(完全閉塞)なら、あらゆる手段ををこうじて異物の排除を試み、同時に人工呼吸と心臓マッサージの救命手当をおこなうことです。

空気は鼻の穴または口から吸い込まれます。吸い込まれた空気は、ノド(咽頭・喉頭)を通り、気管に入ります。ノドまでは飲食物と共通の通路です。気管の入り口(喉頭)には、喉頭蓋(こうとうがい)とよばれるフタがあります。ものを飲み込む時、気管の入り口にふたをして、空気以外のものが気管に入ることを防いでいます。飲み込まれたものは、気管の後ろに沿って下っていく食道に入って、胃に到達するのです。気管に入ってすぐのところに、声帯があります。息を吐きながら、声帯をさまざまに閉じ、口や唇のかたちを変えることによって声を作っているのです。

声帯を越えて気管は胸のなかに入ります。胸の中頃までくると気管は右と左に枝わかれして、左右の主気管支になります。さらに枝分かれした気管支は、何度も何度も枝分かれを繰り返し、最後には肺胞と呼ばれる極めて小さな風船に終わります。 空気はここまで到達し、この小さな風船を膨らませるのです。
左右の肺はそれぞれ数億の肺胞でできていますから、一本の気管がそれだけの枝分かれをくりかえした、ということになるのです。 この空気の通り道(気道)に気体以外の固体や液体が入ると、気道異物(きどういぶつ)と呼ばれます。気管に異物が入ると、健康なひとであればひどく咳込んで、異物を排除しようとする反射が働きます。

1. 液体を飲み込んだ場合

液体は、ほとんどの場合この咳で排出され、咳もやがて鎮(しづ)まります。
液体がねばっこいもので排除できなかったり、毒性や刺激性の強いものであれば、気管支炎や肺炎をひきおこします。

2. 気体を吸い込んだ場合

気体の場合、ガスが有毒であれば気管支炎や肺炎をおこすのみならず、全身の中毒症状も起こして危険な状態になります。「ガス中毒」の項を参照して下さい。火事や爆発事故などのさいに熱風を吸い込むと、気道の粘膜がヤケドをして、気道熱傷とよばれます。粘膜のむくみのため強い呼吸困難をおこすおそれがあります。急いで救急病院を受診する必要があります。

3. 固体を飲み込んだ場合

ここでは、固体の気道異物を中心に述べます。
3歳くらいまでの乳幼児は、なんでも口に入れて遊ぶのが好きです。いろいろなものに旺盛な好奇心をしめして口に入れ、その感触を楽しみます。 しかし、まだ何が危険かなど知ることはできません。 当然、異物の事故はこの年令に集中しておこります。

食べ物のみならず、オモチャ、硬貨、指輪・ブローチなどのアクセサリー、電池、画鋲、針などあらゆるもので異物の事故が起こる可能性があります。 異物になりそうな小さいものは、子どもの手の届かないところにおいて、子どもには自由に伸び伸びと遊ばせたいものです。

食べ物のうち、すぐにはとけなくてネバネバしたチューインガム、チーズ、コンニャクゼリー、おもちなどは、窒息をおこしやすく危険です。ピーナッツなどの豆類は、細かい粒状になって気管に吸引されやすく危険です。気管支にひっかかって水分を吸ってふくれ、気管支の閉塞をおこしやすいことで知られています。
レントゲンにうつらないので診断がむずかしく、やっかいです。小学校に入る前の乳幼児にピーナッツなどの豆類を与えることは避けるべきです。

こどもが危険なものを口にしている時、アワテテ大声を出したり、無理に出させようとすると、かえって飲みこんだり、吸い込んだりしてしまうことがあります。びっくりして口にものを入れたまま逃げようとして、転んだ拍子に吸い込んでしまうこともあります。 冷静に落ち着いて、こどもの顔を下に向かせ、押し込まないように注意しながら、口の中からつまみ出して下さい。


◆ 気道異物
気道異物は、その位置によって口腔・咽頭異物、喉頭異物、気管異物、気管支異物に分けられます。また、閉塞の程度によって完全閉塞(窒息)と不完全閉塞に分けられます。しかしながら、実際の緊急場面で異物の位置を正確に知ることはまず不可能です。とりわけ、喉頭異物と気管異物の区別は困難で、ともに「窒息」として同一の対処をせざるをえません。



(1) 口腔・咽頭異物

ときどき魚の骨が扁桃腺やその周囲に突き刺さることがあります。
痛み以外にただちに心配なことはありませんが、扁桃の場合は化膿することがありますので、耳鼻科咽喉科(じびいんこうか)で処置を受けましょう。

口の中や奥にものがつまることはまずありませんが、大きなオモチのかたまりなどは、窒息の危険があります。
窒息して呼吸ができない時は、急いでなにをしてでも異物の排除をしなければいけません。

(2) 咽頭異物

気管は空気の通る一本道ですから、気管の入り口に物がひっかかると、窒息の危険が大きいです。
子どもは激しく咳き込み、ノドのところを押さえて苦しがります。小さい子では、突然苦しがって走り回ったり、意識を失って倒れたりすることもあります。

閉塞が不完全な場合は、息はできますがゼーゼーあらい呼吸になり、吸う時に胸が凹んだりして苦しがります。
もし、意識もしっかりしていて、咳込んでいるようであれば、落ち着いて励まし、咳で異物が排出されるように助けながら、救急車を呼んで下さい。

完全に閉塞した場合は、息が吸えなくなってしまい窒息です。
まもなく、意識も消失し、呼吸停止、心停止におちいってしまいます。
ただちに人を呼び救急車の手配をすると同時に、急いでなにをしてでも異物の排除を試みなければなりません。

(3) 気管異物

異物が喉頭を越え、気管に入り込んだ場合も喉頭異物と同様です。
気管に入り込むような異物は、サイズが小さく完全閉塞にはなりにくいのですが、万が一、完全閉塞になった場合は排除は困難で、医療機関での高度な緊急処置が必要です。

完全に気管を塞ぐようにつまってしまえば、窒息状態です。

まもなく意識も消失し、呼吸停止、心停止におちいってしまいます。

ただちに人を呼び救急車の手配をすると同時に、急いで何をしてでも異物の排除を試みなければなりません。

不完全に気管を塞ぐ場合は、呼吸はできますが、ゼーゼーしたり、胸が凹んだりする呼吸困難の症状がみられます。

しかし、この場合は呼吸ができているので、何もせずに救急車を呼んで救急病院へ急いで行って下さい。
いたずらに異物を排除しようとすると、浮遊している異物が移動し、喉頭を塞いで窒息状態になってしまうことにもなりかねません。
救急車が到着したら、一刻も早く、一番手近な救急医療機関に駆け込んで下さい。

(4) 気管支異物

喉頭や気管に異物が入った時に子どもは激しくせき込みますが、異物が気管支まで進んでしまうと、咳はかえってやわらいでしまいます。
一見、異物が排出されたかのようにみえますが、異物は気管支に進んでとどまっていることがあります。

呼吸は、異物のある気管支以外の同側および反対側の気管支・肺でまかなわれますので、呼吸困難の症状は乏しくなります。
しかし、のちに喘息様のゼーゼーなどがきかれ、気管支喘息や気管支炎・肺炎と誤診され、長期にわたって異物の診断がつかないまま放置されることがあります。

異物の診断がつけば、気管に管を入れて、気管支の異物を摘出します。

突然激しく咳き込んだエピソードがある時は、気道異物の可能性を考えて医師にその旨を話すべきです。


著者:遠藤 泰弘
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